事故(6)

事故を出来るなら黙っていたかった 自分ながら何たるドジをやってしまったのであろうとイヤになっていたからである でもギブスをして人に会うとき 説明しなければならない
友達は階段から落ちてそれぐらいで すんだのは幸運と考えるべきだという 確かに場合によっては寝てきりや車椅子の生活を余儀なくされるだろう つまずいて平面の道で転んだのと比べると 平面は90度倒れるのであるが 階段の場合これに階段の角度が加わる 階段が30度のとき90+30=120度 倒れるのである ぶつかる衝撃は大変なものであろう 顔面打撃をかばって手が犠牲になったのである よく軽症ですんだと思う 友達のいう通りとだと思い感謝すべきなのかもしれない しかし精神的ショックは大きく なにをするにも消極的になる 友達が急に年をとったな といった この事故で全身のエネルギーが抜けて 寿命が2,3年縮まった感じである 友達はさらに これを警告と考えてこれからはもっと気をつけるようにしなさい 第一に2階に上がる食堂は 出来るなら避けるべきなのだ 必ず手摺につかまれ 第一に 年寄りがなんでファストフード店に行くのだ ちゃんとした喫茶店に入れ など など 訓戒を垂れたる そんな事を言われても このごろ喫茶店があまりないのだ しかし 反発する元気はなく 御無理 御もっともと おとなしく聞くだけでした その通りだと思ったからだ