長嶋人気

脳梗塞で長い間療養中の長嶋茂雄が東京ドームに現れた 観衆が熱狂的な歓呼で迎えた テレビも実況を大きな時間をかけて報道する 解説者もよかったよかったと絶賛を惜しまない なぜ彼がこのように人気があるのか 彼はスーパースターだった 彼が野球界に貢献した功績は数知れない 高潔な人格で誰にでも愛され尊敬された 等々があると思うが 私はもう一つ 彼が巨人軍以外に行かなかったことがあると思う いろいろな球団から誘いがあっても 巨人の長嶋で通した
昔は選手と球団が結びついていて 巨人には 川上 青田 千葉など 阪神には 藤村 若林 西鉄には 稲尾 中西 など 選手がいて これらの選手が他球団にいくことはなかった だから巨人フアンは永久的に川上 青田のフアンであった
ところが現代は 清原にしても工藤にしても もともとは西武の選手だった 割り切って考えないと 清原フアンと巨人フアンとが結びつかない 特にアンチ巨人だった人は 自分の好きな選手が巨人に入ったときは その選手を愛せなくなるだろう
この点 長嶋フアン = 巨人フアン はいつでも成立する
だから ミスタージャイアンツ なのだ 
忠臣二君に仕えず とは侍の生きかたであった 昔のサラリーマンが東芝なら東芝に入ったまま定年になるまで働き通すという 日本人的な社会習慣が 長嶋の生き方に共感を呼んでいるのではないか 現代人はもっとドライなのだと言っても伝統的な潜在意識として残っていると思う もし長嶋が球団から球団へと渡り歩いていたとすると あれほど国民的英雄になったかどうかである