小人数試合

コロナのため野球や相撲などの試合が 少人数または無観客を迫られている この体制になってからなんと長いことだろう 野球の少ない観客と集団での応援がない試合をテレビで見ていると 昔を思い出す 正式のリーグ戦が始まる前オープン戦があるのは昔からである 新聞社はこのオープン戦の切符をサービス品としてくれた まだ東京ドームには屋根がない時代であった 何しろただで見られるからという事で後楽園球場に弟と行ってみた 試合は巨人と南海ホークスであったと思う

席は巨人側の席であった 私設応援団と思われるオッサンがそばにいた 無敵の王者巨人の様なことを書いたかなり大きな手製の旗を広げて 時々振る ところが彼の期待に反して巨人の旗色が良くなくなった 緋本というバッターが連続して三振に倒れた すると

「緋本 お前はダメな やっちあなー」と大声で怒鳴った まさに贔屓の引き倒しである

この頃は個人の選手をやじる声が 直接選手に届いたのである いまは集団で応援する時代で個人の声など到底届かない でも 今の小人数で静かに観戦しなさいと言う球場では 観客の声が選手に伝わるそうである

南海の投手にスタンカという投手が出てきた スタンカは今たくさんいる外人選手の草分け的存在で まだ珍しかった すると例のオッサンが スタンカ すかたん(方言で期待外れ 間抜けの意味) と何回か叫び 最後に ヤンキー ゴー ホーム とまで言ってしまった

スタンカは聞こえたらしくこちらをきりり向いた

回が進むにつれて巨人の敗色が濃厚となった オッサンは相変わらずヤンキーゴーホームを繰り返す スタンカは頭に来たらしく たまらず つかつかと寄ってきた そして巨体を利用してそしてフェンスを乗り越えようとしたができずあきらめた オッサンもさすがに連呼をやめた はるばるアメリカから日本の野球に貢献しようときたした人になんということを言うのだと残念であった 外人には 親切にすべきだとそのころから思っていた 来た外人は日本に好意を持っているから来たわけだからである

今から考えると 昔と比べると観客のマナーも大変改善されたと思う