相撲3

テレビはいまだに二子山のことを報じている いかに大関貴乃花が 人気があったかを示すものだろう 彼の名勝負を報じている中で 貴乃花北の富士を弓なりになってウッチャリをうっている映像があった これだと思った このウチャリは昔よく見られた手であった 二枚腰といわれた双葉山の十八番であった
近頃これがめったに見られない 力士が重くなりすぎてウッチャリは 至難のわざとなったのだ 昔は力士が軽量であったので多彩な技を見せてくれた 二丁投げ やぐら投げ 二枚蹴り さば折 呼び戻し など 面白かった
昔はソップ型といわれている 太っていない筋肉質の相撲がかなりいた 現役のときの二子山などもその一人だろう 近頃はほとんどがアンコ型といわれる太った力士になってしまった 栄養学が発達したために容易に体重を増すことができるからだと思う
最近は力士が重く大きくなりすぎて 巧妙な技が影を潜め単純な 押し出し 寄り切り はたきこみ が やけに増えた それに増えたものに張り手がある 張り手は相撲の一手であるが正攻法ではなかった 前田山が双葉山を張り手で倒したとき 私は卑怯な感じがして前田山が嫌いになった それに現代の力士で増えているものに怪我がある 怪我で途中休場する力士が実に多い おそらく巨大な体を支えるには 筋肉 骨が伴っていないためだろう 
小錦 曙 武蔵丸 などの大型力士全盛期のとき タレントの上岡竜太郎氏が あんな相撲はつまらない 技などなく 力で押し出していて 単純で一つも面白くない 彼らのために別の相撲リーグを作ったらどうだ これは極端な論であるが 一面を突いている 専門家は千代大海などが一気に相手を突き出すといい相撲でしたという しかし素人目には相手を技で投げたおすのがより面白い 増位山の地面に這うような上手投げは芸術的でもあった
相撲はどんどん大型化して技が少なくつまらなくなる一途をたどるのかと思っていたら 朝青竜 が現れた 彼はけして巨漢相撲でなく 私の危惧を除いたと思う
青竜は もし全盛期の 曙 武蔵丸 がいたとすれば どのように対処しただろうか