クレマチス

クレマチス

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近所家の花壇に咲いていたクレマチス

テッセンという日本名もよく使われているらしく この名の方を前から知っていた 私がまだ健在で 我が家と今療養所になっている小部屋を毎日往復していた時のことである 通い道の途中に この季節になるとクレマチスの大きな紫色の花を咲かせる家があった クレマチスはつる性の植物で そのつるが網目状の垣根を埋めつくして 草の花が咲いているカーテンのようで美しい ある日 そこを通ると花が急に少なくなっていて寂しくなっていた そして 「大事にして育てている花ですので花を持ち去らないでください」と書いた紙がぶら下がっていた ひどいことをする人がいるのだなーと残念であった

その隣でも花の垣根があり その花はクチナシであった午前中の定刻にここを通るのであるが かなり年配の女性がかがみこんで垣根の手入れをしているらしい 毎日会うので私もおはようございますと挨拶した 少し微笑んで挨拶に答えてくれた 毎日お会いするうち 女性は手入れと言っても垣根をただ触っていることが分かった 何をしているのだろうと思っていたが 何だかやっていることが無意味にようで もしかしたらこの人は認知症が出ているのかもしれないと感じてきた そんなことが長い間続いたのち 急に女性の姿が消えた 定刻にそこをと通っても彼女はいなかった それを境に彼女の姿を二度と見ることがなくなった おそらく 介護所ようなとことに引っ越したのであろうと想像した 今私自身が毎日の介護されている生活なので あの優しそうな女性はどうしたのかなと思いだすのである