大失態

いつも女学院の創立記念日には旧職員も呼ばれて現職の先生との交歓会がある 私はいつも出席することにしていた 
その日おもてなしに出たのが幕の内弁当だった たべはじめてすぐに食道に違和感を生じた この感覚は前にも経験している 食べ物が食道につまり胃に落ちていかないのだ 若いころはこんなことがなかったが 老人になり何回か経験している いつもやるように多めの水を飲むと通じるようになる 水をがぶりと飲んだがだがこの日は違っていた 水が下に行かず逆流して口もとに その水の一部が気管に入ったらしく激しいむせびと咳が起こった 音が大きかったので場内を驚愕させ 周囲の先生や保険の先生が駆けつけてタオルを差し出して下さった 咳が止まらずそのたびに痰が出てくる とうとう車いすで保健室に運ばれた 咳が出るのは徐々ににすくなくなったが 依然として食道には食べ物が詰まった感じが抜けない
折角の交歓会をこのようなことで大騒ぎを起こしてしまったことの申しなけなさと その中心人物となってしまったことは何とも恥ずかしくて消えたくなりたかった
結局 胃のつまりの感覚は残り 私の後輩でもあり部長先生をしている I 先生の付き添いで日赤病院に送りこまれた
日赤では誤嚥した肺のレントゲンと胃カメラで食道を調べていただいたが 食道がねじれていて詰まりやすくなっていることと 噴門部 (食道と胃の付け根)の一部に疑わしい癌のようなものがあることが分かった これの組織を取ってしらべて結果が11月15日に出ることになっている 11月15日つまり昨日である 検査の結果を聞きに出かけたが 結局 癌ではないが糜爛ができているので いつも降圧剤とともに飲んでいるバイアスピリン(血液をサラサラにする薬)の副作用かもしれないと それに効く胃薬を飲むようにと言われて手紙をかかりつけのお医者さんへ書いてくださった
ここで 当日 大迷惑をおかけした多くの女学院の先生方 とくに長い間 付き添い病院のあらゆる手続きや最後まで見てくださったI先生にはどんなにお礼をしても足りないご親切と介護をお受けしました 本当にありがとうございました
反省として自分ではまあ健康と思っていても老化は確実に進んでいます お姫様のように少しずつ少しずつ食べれば事件は起こらなかったかもしれないと慚愧しております
今の状態ですが ほぼ前と同じように食べられるようになりましたが トラウマが残り少しずつ食べるようにしています