パラリンピック

幼少のころから10代の後半ぐらいまで 仏教思想の輪廻転生(りんねてんしょう)を信じていた つまり人は死と生まれ変わりを繰り返すという思想である これは私だけでなく当時の日本人の多くが共通して持っていた思想だと思う
だから不幸な身障者を見ても 次の時代に健康な体の若者として生まれ変わるのだから 現在という時点では不幸でも 悠久な時の流れでは不幸とは言えないなどと信じて 不幸な人は身の丈に合った生活をしていればやがて幸福がやってくるので その運命に従っていればいいのではないか などとの考えも浮かんでくる
しかし 人が生まれ変わるということが だんだん怪しく感じるようになった 人は生まれ変わるということはなく 現在の生命が終われば未来永劫に自分というものが現れることがなく これは過去にも自分が存在しなかったのと同じ状態になるというように考えるようになった
すると 不幸にも身障者に生まれた人や身障者になった人も 今 生きている間に最大の喜びを感じるような社会の仕組みを考えないと 未来にその不幸を補てんするすべがないのである 
パラリンピックはその点でオリンピックより意義のある祭典だと思う まだ始まったばかりで 柔道 ゴールボール 水泳などを見たが 選手たちはみな生き生きとして参加を楽しんでいた そしてメダルを獲得した選手たちの喜びにあふれた様子は私には 本当によかったですねと共感を呼んだ