怨讐の彼方に

親しい家族や友達が亡くなった時 その悲しみは大きく耐えがたいものであった この悲しみがいつまでも続いたら おそらく脳の神経線維は圧力に耐えられず うつ病になってしまうであろう これを救ってくれたのは人間に備わっている忘却という仕組みである この仕組みのお蔭で苦しみは徐々に薄れて 普通の生活ができるようになる
戦争に負けたときには ショックと悲しみは大きかったが忘却の仕組みで立ち直り 経済的に安定で豊かな平和な現在の日本があると思っている 
安倍首相はアメリカの議会で 日米の両国の関係について
They were once enemies in war but have become “friends bonded in spirit”. と述べて喝采を受けた
戦時中は鬼畜米英われらの敵だといって いやがうえにも敵愾心を煽られて 戦ってきた 敗戦後もこの気持ちを忘れてしまわなければ 連合軍の占領政策は決してうまくいかなかったことであろう
毎年 広島や長崎で原爆記念の式が行なわれる これは原爆と言う破壊兵器を決して使うことのないようにと記憶を新たにするためで 原爆投下した連合軍に 恨み つらみ を言うためのものでないと思う
最近 日本に近代化をもたらした 施設の世界遺産が求められようとしている これに対して 韓国が強制労働を思い出すというので反対している 日本は日韓併合前からのものであると反論しているが このようなエモーショナルなものは時が経てば薄くならないのであろうか
日韓のいがみあいは 芸能界 スポーツ 実業界で立派に業績を上げている 韓国系日本人はたくさんいる かれらが嫌な思いをしなければいいのだがと ついおもってしまう 菊池寛の短編小説 怨讐の彼方に がある 嘗ての敵同士が 最後に許しあうという物語である そうならないのだろかと思う