老人と老犬

私がその老人に初めてあったのは 半年以上も前になるだろうか 老人と言っても私より少し若く 長身で姿勢がよく なんとなくインテリジェンスを感じる人であった その人は犬を連れていた その犬がまた老犬で よく見ると後ろ足は開いたまま2輪車付いた台の上に乗っていた つまり車いすにのった犬であった 犬は老人にゆっくりとひかれて前足だけで歩いている 私が会釈をすると老人も会釈を返してくれた
そんなことが2,3回あった 合うところはいつも決まった場所 ということはその近所に住んでいる人で 老犬に少しでも好きな散歩をさせ上げているのだろう 
私はとうとうしゃがみ込み犬の頭を撫でてやった 犬は力なく私を見上げていた ジーンとするものがこみ上げてきて 思わず いつまでも長生きするんだよ と犬にささやいた  老人はニッコリ笑ってありがとうございますと言ったが それからしばらく経つのだが その老人に合っていない