本音と建前

NHKの朝ドラ マッサンを見ている 日本でウイスキーを作りだそうと スコットランド人エリーというのお嫁さんをもつマッサンと言われている男の物語である 劇の表題はマッサンであるが エリーとした方がよいと思われるようにエリーを中心に話が進んでゆく 
時の氏神 という言葉がある 近頃あまり使われないが なにかトラブルが発生した時 おさめてくれるというありがたい神様のことである
エリーが 時の氏神のように家庭に起こったこと 自分に起こったこと起こった困難な問題を解決してゆく
現在はエリーとマッサンの娘エマと一馬と言う青年の間に恋愛問題が起こっている
戦争の時代をまたいでいるストーリーはどうしても 戦時中の 辛い光景を抜きにしては成り立たない その戦時中の 進め一億火の玉だ という標語のもとに 負け戦に突っ込んでゆくつらい場面がでてくる
一馬は 自分はこんなに安穏として葡萄酒作りなどしていていいのだろうか 速く赤紙《徴兵令い》が来ないものか という またいっぽうでは戦争に参加すれば戦死するだろうという心配も話す
実はこれは本音と建前のことである 戦時中は日本人は最後の最後まで戦い玉砕もいとわなかったなどと言われてきたが 実はこれは建前の話であったろうと思われる 
本音も言えないほど 当時の日本は不自由でもなかった 私は理科系の学校に通っていたので徴兵猶予があった つまり政府は理科系の学生は兵器を作るのに必要なためにまず文科系の学生を徴兵した しかしいよいよ本土決戦という事態においこまれて理科系の学生にも徴兵令が下ることが明らかになってきた 友達のM君は見上げるような大男であったが やれやれ我々も徴兵か 女になるしか方法がないかな などと冗談を言ったので おいM お前が女になったらどんな様子だろなどと言って皆で大笑いをした 終戦を迎えるのはそれから数か月後であった