神はサイコロ遊びをしない(3)

中世の科学者は 私たちの住んでいる宇宙は神の作ったものだから 宇宙を神自身が書いた聖書のように考えて その宇宙を支配している法則を見つけようとして努力していた つまり自然を研究していれば いつか その究極では 神の意志を見つけることでができると信じられていいた
ところが 彼らのみつけた神は 究極のミクロの世界では サイコロ遊びをして 物事を決めていた
つまり 神はすべての細部にいたるまで設計して決めていたのではなく
Let  it  be  どうでもいい 任せるから勝手にふるまってください というところを残した 神様は仕事をサボってしまったのかと思えるのだ
ハイゼンベルクの神はこのように 決まりきった法則を作って宇宙をその法則通りにうごかしていたのではなく 選択に任せる部分を残しておいた
量子はミクロの世界の問題である マクロの世界でニュートンが発見した神の法則が成り立っていた
ところが最近マクロの世界でもこれが怪しくなってきた カオスと言う複雑系である これはあまりにも複雑で要素が多すぎて 投げられたボールの軌道が計算で分かるような簡単なものではなく 正確な結果が予見できないものである そして自然現象の大部分は複雑系に属することもわかってきた つまりマクロの世界でも多分とか確率でしか答えられないのである
地震予知が正確にできないのも地震という現象が複雑系であるからである
神が確率でしかわからない部分を作って置いたために 未来がどのようになるかをわからず 人間は不安を感じるようになった そしてその不安をどのような確率でとらえようかと解釈の違いから いろいろの宗教が生じた
もしも 神がすべてに決まった法則を適用していたら その法則にもとづく一神教に統一されると思われる
繰り返しになるが 確率が支配する世界があるので 解釈が自由になっていくつかの一神教と多くの多神教を生むことになったのだと思われる