敗戦間近

父が突然言い出した どうやら日本は負けるらしいよ 
そのころは まだ原爆の投下はなかった ソ連の参戦もなかったが マリアナ沖 レイテ沖 での日本海軍の壊滅的打撃 サイパン島での日本軍全滅 B29の東京爆撃 硫黄島の日本軍全滅 日本はひしひしと敗戦に向かっていた しかし私は 日本が 最後の 切り札 特攻機が出現したとき 起死回生 一発逆転 これで戦争は負けないような気がした この作戦で米軍の損害もひどくなって 戦争を断念して停戦に向かうのではないか などと考えていた (ところがこれは 米軍の弾幕作戦 弾丸のカーテンにより目標に近づく前に撃墜されてしまうのだが)
父の突然の発言は意外だった 私は反発して 日本が負けるなんてそんなことないでしょうというと 日本にはもう戦う力はもうないんだよ
父はどうしてこの結論に達したのだろう 自分自身で考えた結論なのか それとも彼は実業界とかなりのコネクションがあったので その方面から得た情報なのか?
日本が負けるとどうなるの? 
アメリカの属国になるかもしれないよ しかし考え方によっては 軍人があまりにも威張っている今の日本よりよくなることあると思うよ
当時としては タブーを犯すような かなり大胆な発言だった そんな馬鹿な と反発したが その後 米軍は沖縄に上陸 ソ連参戦 原爆投下と続き 無条件降伏となった
父の言った通りになったが アメリカの属国にはならないですんだ しかしどうして父が予言できたのか そのときは聞くのを逸したので 今では知る由もない