郵便貯金

郵政民営化のことは毎日報道されるのでいささか食傷気味である
昔 山形県にいたとき 郵便局の職員がお金を集めに定期的に来た 母は郵便局の定期積み立て貯金に入っていたのだ  職員はお金を受け取ると 母の差し出す預金通帳に判を押した 判を押すとき カチャンと音がしてある部分が回転してスタンプがきれいに押された 私はこの印鑑がとても面白くて好きだった そして ほしかった
母は3冊の通帳を子供たちに見せて これはお前たちのための通帳で 大きくなってから使うものですよ といった この貯金は一家が東京に移り住んでからも続いていた 
戦争が長くなるにつれ 隣組からは戦時国債を買うようにすすめがあり 半ば強制的であったが 母は近所の手前購入した 終戦近くになると 割り当てが何回もあり 購入した国債の額はかなりのものとなった 
やがて敗戦 そして思っても見ないくらいのインフレ 持っていた国債の値打ちは何十分の一かに下落 そして子供たちのためといって積み立てていた貯金も同様に下落
母の悲しそうな顔を今でも思い出す
日本は戦争に負けたのだから 仕方がなかった だが よく考えると政府は得をしたことになる 国民に返すお金は下落した何十分の一で済むのだ これは財政上大変な有利な条件だ これがあったので復興のも速かったといえるかもしれない
今や国の借金は750兆とも言われている これをどうやって国民に返すのだろう
政府はやがて苦しくなり 超インフレ政策を打ち出す いやいや そんなことはないだろう