利己的な遺伝子

速いもので アメリカのトランプ大統領が今年の1月に誕生してもはや半年が過ぎようとしている 次から次と美しい花が咲くのでこれを撮るのに忙しく そのとき なぜ彼が選出されたのかを自分なりに考えていたが述べることがなかった
ライオンや熊などの雄の行動のなかに 子育てをしている母親の仔を取り上げて あろうことか 食べてしまう習性があるという なんと残酷な! 彼らのDNAには種族保存の命令が組まれているはずである 動物にしても植物にしても他の種族を押しのけてもひたすら自分たちの種族を守り繫栄してきて今がある それなのに同族の仔を抹消してしまう行動は 不可解である
これに関してイギリスの学者リチャード・ドーキンスの名著 「利己的な遺伝子」が大変参考になると思う
熊やライオンの雄はライオン全体 熊全体のことを考えていない ひたすら自分自身の遺伝子を残すことを考えている 仔をもった母ライオンや母熊は育児しなければならないので交尾を拒否する どうしても自分の遺伝子を残したい雄は仔を殺すと雌が交尾に応じるようになるのでそうするまでのことだという
つまり種族保存のDNAは熊とかライオンという種族全体を集団的に栄えさせるのではなく 自分の遺伝子を残そうとするきわめて利己的で単純なものだった
アメリカファーストのトランプ大統領が選出されたとき もっとも知的である人間がその大脳の奥にある原始的な爬虫類の脳と言われる利己的な遺伝子の具現脳が表面に出て働いたためだと思った つまり人間全体より自分自身という利己的な遺伝子の表面化である
しかし 利己的な遺伝子は一見 悪 に見えて尊敬できないが 昔 本能などと言われて持っていたもので この遺伝子の性質がないと自分の生命が維持できくなるので 悪ではなく本来自己防衛のために備わっているものである だから この本来の性質を無視して理想だけ掲げててもうまくゆかない 人間の社会に理想的な主義と言われていた共産主義がうまくゆかなかったのもこの源流だった本質を無視して築き上げた砂上の楼閣だった
人間の歴史がなぜ戦争の歴史であったか 利己的な遺伝子の主張を変えることができなかったため  なぜ犯罪がなくならなくて それを主題にしたミステリーがテレビを毎日にぎわしているのか 利己的な遺伝子の仕業なのだ
しかし それでもこの原始的な脳に後から発達した前頭葉がある この脳はどうしたら利己的な遺伝子に対抗して皆が平和に暮らせるかを考えている ある意味では人間らしさしさの脳である 結論として人間は 原始的に与えられている利己的な脳と大脳との間を行ったり来たりして歴史を作ってきたと考えている