稀勢の里(2)

三段論法的な単純な理論でいえば 稀勢の里は左を負傷して使えないので右だけで勝ったことになる だからもし万全の体制ならもっと強いここになる しかし人間は精神力で補うので簡単にそんな結論にはならないと思うが 強くなったことは事実であろう
少し前 魁皇(今の浅香山親方)がいた 彼は大変強く大関を長い間つとめた 腕力がずば抜けて強く彼に小手投げ投げられたとき相手の腕が骨折をおこすなどして破壊王などとのダジャレで呼ばれた しかし何回か綱取りのチャンスがありながら 果たすことができなかった 肝心の勝負で勝てなかった 彼の相撲を見ていると土俵際での頑張りが足りない気がした いとも簡単に土俵を割ってしまうのである 私は これは彼の戦術なのかもしれないと考え始めた つまり頑張って土俵下に転落して怪我をすることを避けているのではないか?などと思ったのだ
稀勢の里にテレビのインタービューアーがマイクを向けて次に最もしたいことはというと 不意の質問に少し迷ったのちしばらくして やはり稽古ですかねといった これは大変謙虚な答えである まだ自分の相撲に満足していないのだ 稽古を十分にしてもっと強くなり 筋肉の鎧で怪我をしない体をつくり そして魁皇流に長く続く横綱になってほしい
途中休場の白鵬 日馬富士 鶴竜 そして 照ノ富士も次の場所では雪辱を狙っているだろう 次の場所も面白くなりそうである 何よりうれしいのは相撲フアンがどっと増えてきたことだ