理性と感傷

NHK 衛星放送に 世界街歩き がある 高齢のため もう海外旅行はできなくなっているので チャンスがあればこの放送を見て楽しんでいる ついこの間は ベルリンの街歩きを報じていた ベルリンは行ったことはなかったが 元は東西に分かれていたので その名残がある 有名なベルリンの壁の一部が残っていて 壁はいろいろなペイントで塗りたくられている なかに大きな自動車が壁を破ってこちらに突進してくる絵があった 老人が口角泡を飛ばして 大声で説明してくれた この自動車はトラバントだ 東ドイツを代表する車さ こんないい車はないね
トラバント東ドイツでは競争する会社がないため 長い間 モデルチェンジもせず大量に生産されて古色蒼然たる車である 東西のドイツが統一した時 西側のフォルクスワーゲンなど一緒に道路を走ることになる これを見た東側の人は ださいトラバントと比べてカルチュアショックを感じたという それでも 老人がこれ以上の車は無いように言うのは 自分たちが 通ってきた過去への感傷《センチメント)なのだろう
私なども過去に辛い戦争を経験してきて 二度と戦争はダメだと理性ではわかっていても 何かの拍子に 昔の軍歌が頭の中で音律を奏でていることがある
🎵 ここは 御国の何百里 離れて遠き 満州の 赤い夕陽に照らされて 友は野末の石のした ♪
その時 私はジーンとしたものを胸に感じているのである