時間感覚

国語科のS先生は 子供のころの時間がはるか遠くに感じるのはなぜだろうと 疑問を述べた 確かに 最近に経過した5年間と 小学校に通う前の5年間は物理的に同じである ところが 今から振り返ると この幼児期のたった5年間がとてつもなく長く感じる 私はそのとき なるほど 生まれてから しばらくの間は時間の観念が固定していないためではないからなど と さも分かったようなことをいった覚えがある S先生の反論があったが覚えていない
ところが最近イギリスの哲学者 Julian Baggini(ジュリアン バギニ?) 氏の書いた小論文に このなぞを解く鍵が書かれていた 
幼児期は その日に見たもの聞いたものがすべて新しく 1日中が情報の満タンであった つまり短時間のうちに 恐ろしいほどの情報を受け取ってしまう これは大人では1日に受け取る情報はほとんどが前に経験したものばかりで 新しいものはごく稀であるのと くらべると大きな違いである 大人が幼時と同じような大量の情報を得るためには 長い時間が必要になる 今仮に 情報1を得て次の情報2を得る時間が決まっているものと考えると 情報1を得て2,3、4………………..10を得るには10倍の時間を必要とする 幼児が膨大な経験をして これを後から考えた場合長い時間がたっていると解釈される
映画 The longest day(日本名 地上最大の作戦)は連合軍のノルマンディー上陸作戦を扱ったもので なぜ Longest なのかというとその日のうちに膨大な量の作戦が一気に行われて事によるからである