浅草(2)

常盤座の隣に金竜館があった 金竜館では 曾我廼家の喜劇をやっていた 曾我廼家と名のる喜劇役者はたくさんいて その中で曾我廼家五郎はもっとも大きな名であるが 金竜館のものはその分派であろう ほのぼのとした悲喜劇を演じていた でも やはり 笑いの王国 の方が面白かった 花やしき にも 行った 子供のころ大変広いところと言うイメージがあったが 大人になったから入ったところ なんと狭いんだと驚いた
浅草には電車でも行ったが 父と行くときはいつもタクシーで行った そのころ円タクといって 市内なら1円でどこでもいけるというので円タクである 浅草まで1円であったかどうかは覚えていないが メーターがついていなく 代金は交渉により決まる 一家全員で行くと5人あるが 昔のタクシーは大きい外車を使っていたので ゆっくり乗れた タクシー内は 後ろに3人がけ その前に2人分の補助椅子 があったと思う
目黒から浅草まではかなりの長丁場であり 自動車に弱い妹が車に酔ってしまう 
笑いの王国 を見た後 よく 今半 や ちんや ですき焼きを食べた また びっくりや という店でアイスクリームや小豆アイスを売っていた 両方ともおおきな 最中に入っている 特大で おいしく 安いので 子供たちは大好きであった
叔父が 浅草の松屋に連れて行ってくれた 子供の遊戯場にあった小さな電気自動車に乗った 初めての運転経験である 松屋の最上階は ほとんどのデパートが そうあるように家族向けの食堂になっていた 焼きそばをご馳走してもらった 松屋の食堂の窓から下を見ると ユニオンビールと大きな字が屋根に書かれているビール工場が広がっていた