虚無の世界の中で


植物人間という言葉がある 呼吸をしたり 消化したり 生命を保つ機能はある 生きてはいるが意識がない この人は無意識で生きているのだ 桜は植物そのものであるから 勿論 意識が無い 自分がどんなに綺麗に咲いていても 私は今 綺麗に咲いているという意識が無い 目とか脳とかが無いので 綺麗な自分自身を見る事も出来ない ただ虚無の世界に生きている  それどころか 発芽して 育ち 咲いて やがて枯れてゆくことが すべて虚無の世界で行われると思うので 人間のように 存在していると言うことわからないままに一生を閉じる事になる これはなんとも不思議な世界で 私は彼らに お前はこんなに綺麗で 人々はお前を見てどれだけ喜んでいるのか 知らせてやりたい しかし どう考えても不可能で 一種の苛立ちのようなものを感じてしまう 
だから神様が 彼らに代わって 人間に 彼らを評価する役目を課したのではないのか などと考えてみた