霧の乙女号(2)

乙女号は1階と2階に分かれている 添乗員さんの声が聞こえた 濡れてもいい方は2階 濡れるのがいやな方は1階です もちろん2階に行く すでに見やすい船縁は占領されていたが 滝が高いので 群衆の中にいても十分見える 轟音をあげてアメリカ滝が眼前にある しぶきはあまり無い こんなもなら さほど恐れることも無い 合羽の中からカメラを出して撮影をする ところが船がカナダ滝の滝つぼに近づくと大粒の雨のようなシャワーに見舞われた ヒエー ヒヤー ウワー 人々が悲鳴を上げた 
これは 私が想像していたよりかなり激しいもので まるで時代劇に出てくる土砂降りのシーンに似ていた 7人の侍が野武士の襲撃をうけて 立ち向かう激闘シーンで車軸を流すような雨が降っていた 激闘シーンはそのために いやが上にも 迫力を増していた
この乙女号も このシャワーによりハイライトを造っているのだ 霧の乙女号は大迫力そして大興奮の乗り物だった
私のカメラは防水で無いので このハイライトを撮ることができなかった たとえ撮ったとしても 私の少し旧式なデジカメでは真っ白な雲の中のような光景はホーカスを定められず シャッターを切るのをカメラが拒否したであろう