人間世1

現職時代 女学院では高校の理科は選択科目で 物理 化学 生物があった 一番人気のあったのは生物で 次に化学 物理は選択する生徒が少なかった これは私の教え方が悪く人気がなかったとも思えたが 私の赴任前からこの傾向であったことが分かり私のせいだけでなく 高校の物理は数学の三角法などの数式が入り面倒と敬遠されていたのがその主な理由らしい

そんな時 文部省の命令らしいが高校では地学も教えなさいということになった 教頭先生から地学の専門の先生がいないので 先生が見つかるまで地学を教えてくれないかとの相談があった 地学関係は中学の理科で気象天文地形などが出てきて教えていたので何とかなるだろうと植木等並みに引き受けることにした

ところが天文と気象は物理といくらか関係があるので何とかなることはわかったが 困ったのは地質学の部分である 三葉虫とかアンモナイトなどが出てくる これらの生物はどのようにして生活していたのであろう これは物理の先生が教えるより生物の先生が教える方が良いのだはないかと思う 大変困ったのだがこちらが勉強して教えるしかない 

その頃の地学的時代分けは 古生代 中生代 新生代に分かれていた 古生代というのはカンブリア紀から始まる時代のことで それより以前の時代は前カンブリア紀と言っていた 実はこの 前カンブリア紀 というのが途轍もなく長い期間で地球の歴史を1年に例えるとカンブリア紀が出てくるのは11月の終わりの頃だという つまり化石などにより実証できない時代はいくら長くても説明ができないので 前カンブリア紀という一言で終わりにしていたわけである これは魏志倭人伝古事記日本書紀などの記録がない日本史は分からないので長い長い歴史が簡単な扱いになっていると同じである

とにかくカンブリア紀というのは どういう訳か進化の節目として突然にいろいろな生物現れてその証拠の化石もたくさん残されている テレビ東京ではいろいろな企業がたくさんできたことをこのカンブリア紀になぞらえて カンブリア宮殿 という番組を作ったほどである

余談が多くなったが 時代分けの代の下に紀があり更に紀は世に分かれる そして新生代は第3紀と第四紀に分かれていて更に紀の下に世がある よく言われることであるが人類が現れたのは地球の歴史を1年に例えていたことで言うと12月31日午後4時に人類に祖先の類人猿が現れ イエスキリストの降誕したのは12月31日午後11時59分49秒だと言う それからたった11秒間に人類は地球の地理的条件まで変えてしまう存在になってしまった