ハンコ 1

前の昨年の11月の時もそうであったが その時はデーサービスの契約 ヘルパーさんの派遣している機関との契約があった おびただしい紙にハンコを押した覚えがある 今度は前の契約を引き継ぐだけなので簡単だろうと思っていた 事実それは簡単に済んだのであったが 訪問医と訪問薬局が付くことになった そこでまた紙にハンコを押すことになる 署名捺印なので手が疲れるほどである そして割り印などもある 現金封筒に何回もハンコを押すことみたいだ 日本のハンコ文化というかハンコ行政は当分続きそうだ

本当は ハンコ自体は大好きである これは子供のころスタンプを押して遊んだことがあるからである また昔話をしてしまうが 村の中でのエリートと言われる家庭もあった 学友のT君の家である T君の家は村で唯一の3階建てであった 夏になるとT家が持っている小舟で川下りをして楽しんだ 川をほんのひと下りするだけであるが これが最高に楽しかった 下った後はもう一度川下りをするために 小舟をみんなで懸命に川上に引き上げる 船長であるT君は乗船券と言う切符を発行していた 電車ごっこの切符のようなものであるが カードになにがしかの絵と英語のスタンプが押してあった T君の家に行ってカードづくりを手伝ったことがあった 赤で絵のスタンプ 緑で字のスタンプを押すのであるが これがとても楽しく ハンコを持っているT君がとてもうらやましかった

東京に出てきて目黒の小学校に通うことになった 山形県ではそれなりの成績であったが都会の学校とはかなりの学力差があり たちまち できない子になってしまった ある日算数の試験でひどい点を取った 先生はこれを両親に見せなさいと言って見せた証拠にハンコを押してきなさいという ピンチであった 子供心に 何とかならないものかと考えたのがインチキなハンコを押すことであった 幸いスタンプを押して遊んだゴム印があった 招待 などと書いてある長丸のものである これを全部押すと分かってしまうので少しの部分だけ押した もちろんばれて怒られたが 先生はもう一度押し直してこいとは言わなかった 今度はちゃんと押してもらいなさいと注意を受けた もっと怒られるかと思っていた私は先生が優しかったのでほっとすると同時に インチキはダメだという事がよく分かった 苦い思い出であるがその後の教訓になった