自粛警察

コロナのため3蜜はダメという事で飲食店やパチンコ店などが自粛しなければならなくなった でも警告に従わずに営業する店があった そこで自粛警察と名付けられた正義感の強い人たちが立ち上がり従わない店の前で 大声で非難をしり張り紙で脅したりした つい最近マスク警察が現れた マスクを着けていない人を コロナをまき散らすのかと非難 車中の娘さんは泣きながら電車を途中で降りた このことについては正義感の暴走とか いろいろのコメントをテレビの解説者が言っている

 

終戦後しばらくして私は 井の頭線に乗るために渋谷駅のターミナル広場を通過しようとしていた 若い二十歳前かと思われる女性が近づいてきて 平和団体のものですが 広島長崎のために皆さんに千羽鶴を折るお願いをしています 一つご協力をお願いしたいのですが と小さな薬包紙のような折り紙を手渡そうとする 私はすこし急いでいますので失礼をいたしますと通過したが 背中から ほんの僅かな協力もできないのですかと罵声のような非難を受けた この短い間の記憶が今でも残っているというのは心傷をこうむったことを示す

後から考えてもどうしても不合理だと思う なるほど鶴の折り紙は傑作中の傑作で美しいと思うし 日本人の大抵の人が折れるのだと思う だが私は折る自信がなかった 例え折れるとしても鶴は折る過程がかなり複雑で時間がかかる 差し出された小さな紙ではさらに困難であることがうかがえる

この娘さんは正義感あふれる人だった人だったのだろう 千羽鶴をつくるのに多くの人に作ってもらうのはいいことだとは思う しかし自分の信念を貫くために協力できなかった人を非難するのはどうかと思う 自分の信じる正義感を絶対だと考えて人にも押し付けるのはどうであろうか

民間団体の自警団は公的機関のそれよりも厳しいものがあり 戦時中敵機の空爆に備えて灯火管制が行われた 家から明かりが漏れないように自警団が町内を回って明かりが出ている家庭に注意して歩く 色々と工夫をして漏れないようにしたのであるが 塀の隙間から見ると灯火の眞下だけ照らしている光が横から見えるらしい 敵機は上から見ているから眞下の明かりは見えないはずだなど言っても始まらない とうとう真っ暗にするしか方法がなかった この頃は国家に協力しないのは国賊と言うレッテルを貼られてしまうので最も恐ろしかった

https://kutuzawa.hatenablog.com/entry/20061216