テレビの字幕

老健ではテレビは共同視聴である 耳が遠いのでテレビは字幕を出してみている 洋画を見ている時に 字幕が気にならないと同じで 慣れてくると違和感がなくなるのであるが それでも 芝居の字幕であることを如実に示されることがある それは言語以外に場面の説明が入ることである 例えば 「戸を占める音」 「すすり泣き」 「音楽」 「風の音」 などの今進行しているバックグラウンドの状況を親切に教えてくれる 別に気になるわけではないがなぜか昔の無声映画を思い出す 

無声映画の手法は 女優さんが 「そんなこと言ったって私にも立場があるわ、 ~ 」などというセリフを言うと 最初に女優さんの口パクだけの画像が出てくる 次に 「そんなことを言ったって~ 」という字幕だけの画面が出てくる 思い出してみると画像と字幕が交互に出てくるから 芝居としてズタズタになってしまうような気もするが 慣れるとそういうものだと気にならなくなるから不思議である

その他 活弁と言われた弁士が映画の横にいて画面を見ながら俳優のセリフを代弁する 一人で男優 女優 場面の説明などを行う(トーキー映画にはない かくして彼と彼女は永遠の愛を誓ったのであった などストーリーを説明する)

 特に女優の場合 裏声を使って女性の声をまねるのである 少し不自然であるが気にならなくなる これらの映画(映画という言葉はまだなく活動写真と言っていた)はみな エビス帝国館 という小さな映画館で見た

動画でなく静止画で弁士が付くものは紙芝居である

まもなくオールトーキーと言ってトーキー映画が作られるようになると有名な活弁 徳川無声 生駒雷游 山野一郎 など職を失い 俳優や漫談家になった

PS

エビス帝国館と言うのは松竹映画の常設館で他社の映画は上映されていなかった 友達に映画フアンがいたが彼はキレイ館と言う映画館で 大都映画 を見ていたので話が合わなかった 映画会社は専属の俳優をかかえていて その俳優が他社に出ることなかったためである エビスにはもう1つ 氷川館 と言う映画館があったがこれは 新興キネマ の常設館だった