医院に行く

10時ごろになるとヘルパーさんがやってきた 一人で苦しんでいた私は 人の姿を見ると安心したのか じゅわーっと涙ぐんでいた 医者にかかりたいと思っても一人で医院まで行くことが不安であった この頃の私はコンビニに行くにも一人で行かずヘルパーと一緒に行ってくださいと言われていたからである 目指したのはK外科胃腸科医院である

長い30年近く かかりつけの医院と言えば新橋にあるアレルギーリュウマチセンターであった 喘息ために通っていたのだが内科のお世話にもなっていた

骨折の治癒が終わってからは新橋では余りにも遠いということで近所のK医院に代えたばかりである

K医院では なにか黄色い液体の点滴を受けて お薬をいただくと痛みが治まってきた やれやれこれで解決なのかと安堵して介護室にしている部屋に戻った しかしその夜また同じような痛みが起こってきた これはただ事ではない94年もの長い間使ってきた体である ところどころで故障が起きて当然なのだろう 老人は一気に崩壊に進むのかもしれない

【あといくつ 寝ると おむかえに(お正月)】

など自嘲的な気分にもなった が とにかく とりあえず この苦境から抜け出したかった 

二度目にK医院に行くとK先生は保護者の姪からの電話で少しでも怪しい所があれば病院に入れてくださいとの要請がありましたという 私は姪に連絡していないので ヘルパーさんからヘルパーを派遣などの世話をしてくれているケアマネージャーのところに情報が行き その情報が姪のところに直ちに届いたものと思われる 後から思えば日本の老人への介護は素晴らしいものだと思う

K先生が 病院の紹介はすぐできますが あなたはどうしたいですか はい病院へ行きますということで 先生に紹介状を書いてもらい そのままタクシーで古畑病院へ入院ということになった 古畑病院に着くとケアマネージャーのM氏が早々と来ていた 何かホッとした気分になった